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字幕翻訳は、パソコンと作業スペースさえあれば場所と時間を選ばずに仕事ができ、プロになればそれなりの収入も見込めるため、人気の高い仕事だと言えます。
ただし、字幕翻訳者として仕事を始めるまでに、結構お金がかかるというのも事実。
以前まとめた映像翻訳学校についての記事では、学校によって違いはあれど、英語⇒日本語は40~100万円、韓国語⇒日本語は15~30万円ほどの受講料がかかるとご紹介しました。
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字幕翻訳家になるには翻訳学校に通ったほうがいい?【英語・韓国語】
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コースを修了すると、字幕制作会社のトライアルを受けていよいよ仕事を開始!となるわけですが、字幕制作ソフトや辞書など、そろえておくべきものがあります。


必須アイテムまとめ
- 字幕制作ソフト『SSTG1』シリーズ
- Windowsのパソコン、モニター、イヤホン など
- 各種辞書
字幕翻訳家の必須アイテム
1.字幕制作ソフト『SSTG1』シリーズ
SSTG1について
字幕翻訳の仕事をするうえで欠かせないのが、カンバス社の字幕制作ソフト『SSTG1(読み:えすえすてぃーじーわん)』シリーズ。
字幕翻訳の求人の募集要項には、必ずといっていいほど「SSTG1の使い方が分かる方」「SSTG1保有者」という条件が記載されています。
これは、ほとんどの字幕制作会社で、sdb形式(SSTを通して作られるプロジェクト)での納品が求められているから。
今でこそオンラインなど様々な納品方法が増えてきましたが、プロの字幕翻訳家でSSTを持っていない方は、ほぼいないと言えます。
製品ラインナップ
SSTG1シリーズの詳細は、カンバス社の公式ページにて詳しく紹介されています。
現在の製品ラインナップは、
・SSTG1Pro
・NetSSTG1
・SSTG1Lite2
・SSTG1Lite(販売終了)
・SSTG1(販売終了)
となっています。
従来の『SSTG1』と呼ばれる製品(1ライセンスあたり20~30万円)は、今は販売・保守ともに終了となっています。
この『SSTG1』が完全な買い切りタイプ(購入時に製品価格を支払えば保守費用を払わなくても半永久的に使える)だったのに対して、
現在主流となっている『NetSSTG1』『SSTG1Lite2』は、購入時の製品価格とは別に、年間の利用チケット費用(保守費用)がかかるタイプになっています。


製品 | NetSSTG1 | SSTG1Lite2 | SSTG1Lite(販売終了) |
---|---|---|---|
最終チェック、MOV&MP4再生、 sdb検索などの新機能 | 〇 | 〇 | × |
アップデート頻度 | 随時 | 年1回 | なし |
製品価格(初期費用) ※税込 | ¥65,780 | ¥217,800 | ¥217,800 |
利用チケット費用(365日) ※税込 | ¥39,336 | ¥21,780 | 無料 |
チケットバリエーション | 10日, 30日, 90日, 180日, 365日 | 365日のみ | - |
『NetSSTG1』は、製品価格が65,780円で、年間の利用チケットは39,336円。
年間(365日)チケットだけでなく、10日間、30日間、90日間、180日間チケットにも対応しています。もちろん年間チケットのほうが割安ですが、SSTを持っていてもたまにしか使わないという人は、使うときだけチケットを買えばいいので便利です。
新機能追加などのアップデートを随時受けられるというのもNetSSTG1の特徴。
『SSTG1Lite2』は、製品価格が217,800円で、年間の利用チケットは21,780円。
NetSSTG1と比較すると、製品価格が高い分年間チケットの料金が割安(チケットは年間のみ選択可)になっていること、アップデートが年1回であることが違いです。
シミュレーションしてみると10年以上使う場合はLite2のほうがコストパフォーマンスが良くなるので、長くそして継続的にSSTを使う人におすすめです。
『SSTG1Lite』は、従来の『SSTG1』と同じく買い切りの製品で、価格は217,800円。買い切りなのでチケット代はかかりません。
ただ、最終チェック、MOV&MP4再生、sdb検索などの機能がついておらず、アップデートも受けられないため、あまりおすすめできません。(2021年10月で販売終了)
ポイント
基本的には『NetSSTG1』を買っておけば間違いないが、長く継続的に使う人、かつアップデートは年1回でも構わないという人は『SSTG1Lite2』のほうが長い目で見たときにコスパがいい
チケットの購入方法や、アップデートの例は、次の記事もご参照ください。
筆者が購入したのは『NetSSTG1』です。
映像翻訳学校でキャッシュバックキャンペーンをやっていたので、少しお得に買えました。
※厳密には、カンバス社の公式サイトで製品を購入する際に学校名を記入⇒後日学校経由でキャッシュバックされる、という流れでした。

2.パソコン関連
パソコン
もうひとつの必須アイテムは、なんと言ってもパソコン。
SSTG1シリーズはMacでは動作保証されていないため、Windowsのパソコンが必要です。
カンバス社公式サイトに掲載されているPCの推奨スペックはこちら。
項目 | 推奨スペック |
---|---|
OS | Windows 8/8.1/10 ※Macでの動作保証はしておりません。 |
Display | 解像度 1366×768以上 |
CPU | Intel Core i5以上※1 ※1:下記の型番は性能値が低いため、動作保証対象外 Core i5-430UM / Core i5-4400E / Core i5-470UM Core i5-520UM / Core i5-540UM / Core i5-560UM Core i7-620UM / Core i7-640UM / Core i7-680UM |
HDD/SSD空き容量 | 10GB以上 |
メモリ | 4GB以上 Windows10の場合 8GB以上 |
備考 | ・テレビチューナー付きのPCは避けること。 ・以下のウィルス対策ソフトは避けること。 Avast!/ウイルスセキュリティ(ZERO)/スーパーセキュリティ/フレッツ・ウイルスクリア |
『超』とまではいきませんが、そこそこハイスペックのものが必要になるんですね。
なお、パソコンによってはSSTG1と相性の悪いものもあるようです。
カンバス社によると、「あまり余計なソフトが入っていないビジネス用のメーカーのPCやショップブランド(ドスパラ、ツクモ等)のシンプルなPCをお勧めしております。」(公式サイトより)とのこと。
ビジネス用のメーカーのPCって、PanasonicのLet's noteとかですかね。
筆者は、メインPCとしてLenovoのThinkPad、サブPCとしてツクモのPCを使っています。
以前はLenovoのPC1台で仕事をしていたのですが、ちょっとした不具合がおきて納期に遅れそうになったとがあったので、2台目のPCにもSSTをインストールしています。

モニター
そして、『必須』ではないですが個人的におすすめしたいのが、モニター。
PC1台で作業をしていると、SST、台本、辞書、インターネットでの調べ物など、いくつものウインドウを何度も切り替えなくてはいけません。
モニターを接続して2画面で作業することで効率もアップ!目も疲れにくくなります。
<設置例>

モニターはとにかく映ればいいので、安いものでも大丈夫です。
このSAMSUNGのモニターはメルカリでなんと2,000円で買いました笑
キーボードもヨドバシカメラで3,000円くらい。

イヤホン・ヘッドホン

スポッティング(ハコ割り)をおこなったり翻訳していく時に、音を取りこぼしてしまわないようにイヤホンまたはヘッドホンが必要になります。
ただ、そこまで高いものを買う必要は無いと思います。audio-technicaなど、家電量販店で手に入るもので十分です。
ちなみに筆者は、イヤホンとヘッドホンの両方使いです。
前にどこかで、ずっとイヤホンをしていると耳に湿気がたまってあまりよくない、みたいなことを聞いたので、数時間おきにヘッドホンと交換しています。
ヘッドホンの方が防音対策に優れているので、カフェなどで作業するときも便利♪
3.辞書

字幕翻訳家の必須アイテム、最後は『辞書』です。
正確に翻訳を行うためには、オリジナルの言語(原語)を100%理解することが重要。
そして、それを文字数内で上手に表現する必要があります。

また、外国語⇒日本語に翻訳する場合、外国語の意味を調べるよりも、正しい日本語表記を調べるために日本語の辞書を引くケースが多いです。
外国語の辞書
英語の場合、『ランダムハウス英和大辞典』、『リーダーズ英和辞典』、『ロングマン英英辞典』などを使っている翻訳者さんが多いようです。
韓国語はというと、市販の辞書を引くというより国立国語院(국립국어원)の公式ページで意味を確認したりすることが多いです。
日本語の用語辞典

翻訳を仕事にしたいというくらいですから、プロの字幕翻訳家を目指す人は、外国語には自信があるという人が多いはず。
でも、字幕翻訳では外国語のスキルはもちろんのこと、『日本語力』が大事になってきます。
正しい日本語表記を調べるために、翻訳者はたくさん辞書を引くことになりますが、その中でも漢字にするか、ひらがなにするか(業界用語では開くか閉じるか)は重要です。
たとえば、嬉しいという言葉は、『NHK漢字表記辞典』によると漢字で表記できないことになっています。ひらがなで『うれしい』と表記します。
また、上手という漢字の場合、『じょうず』と読む場合は漢字で表記しますが、『うわて』と読む場合はひらがなで表記します。
慣れてくれば辞書を引かなくても大丈夫になりますが、最初のうちはこれで苦しみます。
翻訳学校で教えてもらった、字幕翻訳者が持っておくべき3大日本語辞書は、
①NHK漢字表記辞書 (NHK新用字用語辞書を改訂したもの)
②共同通信社 記者ハンドブック
③朝日新聞の用語の手引き
この3つ。

『ATOK』の辞書ツールが便利
分からない単語や表記が出てくるたびに紙の辞書を引いていると、膨大な時間がかかります。
少しでも効率をあげるために、筆者は『ATOK』の辞書実装ツールを活用しています。
ATOKはMicrosoft IMEのような日本語入力システム。

ATOKを導入するメリットは、好きな辞書をインストールして使えるという点。
私は、先ほど紹介した『NHK漢字表記辞典』をATOKにインストールして使っています。
漢字で表記したらだめなもの、どの漢字を使ったらいいかがタイピングするだけで表示されるので、辞書を引く手間が省けて便利です!


ATOK自体は『ATOK Passport』というサブスクのサービスが税抜550円/月。
そこに辞書を購入してインストールします。NHK辞書のダウンロード版は4,000円くらいでした。

個人事業主なら経費処理を
SSTやパソコンなど、いろいろ初期投資が必要になりますが、個人事業主として開業している方は、必要経費として処理すれば節税にもなります。
勘定科目の例
・SSTG1
①NetSSTG1の場合⇒10万円未満のソフトウェアなので『消耗品』で一括計上OK
②SSTG1Lite/Lite2の場合⇒20万円を超えるので『ソフトウェア』無形固定資産として減価償却(もしくは『少額減価償却資産の特例』で一括償却 ※青色申告者のみ)
・SSTのチケット代⇒『消耗品』
・字幕翻訳セミナー参加費用など⇒『研修費』
・パソコン関連
①10万円未満⇒『消耗品』
②10万円以上⇒『工具器具備品』減価償却資産として耐用年数に従い減価償却
※ただし、青色申告者なら30万円未満のものを『少額減価償却資産の特例』を使ってその年に一括で償却できる。
経費にできるもの、勘定科目やおすすめの会計ソフトについては、こちらもご参照ください♪
おわりに
字幕翻訳の仕事をするには、字幕制作ソフト『SSTG1シリーズ』が必要で、実際に作業をするためのパソコン、イヤホンなどが必要になります。
正しく翻訳し、表現するための辞書も翻訳者にとっての必須アイテムといえます。
字幕翻訳は初期投資が必要であれこれ費用がかさみますが、アイテムをそろえて、実際に仕事をし始めれば回収できます。
私も何とか初期費用分は回収できましたが、これからもっと稼がないと・・・笑
最後までお読みくださり、ありがとうござました^^
ちー🍀