勤めていた会社で人間関係に悩み、転職先が決まっていない状態で退職してしまった筆者。
「これまで雇用保険を納めてきたんだし、もらえるものはもらっておこう!」ということで、失業手当をゲットすべく離職票を握りしめ地元のハローワークへ向かいました。
ハローワークで失業が認定されると『失業手当』が給付されますが、早めに再就職した場合、失業手当の代わりに『再就職手当』がもらえる場合があります。
筆者は結局、再就職せずに個人事業主になることにしましたが、そうなると気になるのが、
「個人事業主として開業しても、再就職手当ってもらえるの?」
ということ。
結論から言うと、個人事業主でも再就職手当を受給することができました。
ただし最初は申請書類が認められず、申請に成功したのは開業から1年後。
先日ようやく、再就職手当として36万円ほどが口座に振り込まれました。※金額は前職の収入などによって算出されるので、人それぞれ違います。
そこで今回は、注意点や受給までの流れ、提出した書類などをまとめていきます!
注意
あくまで体験談ですので、「こうしたら絶対にもらえる」というものではありません。提出すべき書類などは、管轄のハローワークの職員さんに確認してみることをおすすめします。
個人事業主でも再就職手当がもらえる?
最初に注意してほしいのは、
『開業するために退職した場合は再就職手当はもらえない』
ということ。
ポイント
『開業』は『再就職』ではない
再就職手当は、失業⇒再就職した場合にもらえる手当なので、まずは会社を辞めた後にハローワークに行って、失業中であることを認定してもらう必要があります。
ここで言う『失業』は、離職はしているが再就職する意思と能力がある状態のこと。
つまり、この時点で開業しようとしている人は、再就職する意思がない=失業状態ではないと見なされるため、対象から外れてしまうのです。
ポイント
・まずはハローワークで失業を認定してもらう必要がある
・その際、再就職する意思があることを伝えることが重要
筆者の場合は、
「失業認定を受けて求職活動などをした上で、再就職ではなく個人事業主になることを選択した」
というケースのため、この場合は大丈夫とのことです。
退職から再就職手当受給までの流れ
5/末 会社を自己都合で退職
6/6 離職票が届く
6/7 最初にハローワークに行った日(=受給資格決定日・求職申込日)
6/13 7日間の待期期間満了 ※待期期間中は就業してはいけない
6/中 職業講習会、雇用保険説明会@ハローワーク
7/5 初回認定日@ハローワーク
8/中 就職相談@ハローワーク
9/7 税務署に開業届を出す ※待期期間+1ヶ月経過後
⇒開業した旨をハローワークに電話で報告
10/3 再就職手当を申請するも、『1年を超えて事業を安定的に継続して行うこと』が証明できない(証明書類が十分でない)と言われて却下される
↓
【1年後】
↓
10/25 証明書類をそろえて再度申請
11/22 再就職手当が口座に振り込まれた!^^
離職票は前職の会社を退職後、1週間ほどで手元に届きました。
離職票やその他の必要書類をもってハローワークに失業手当の申請に行くと、通常はその日が受給資格決定日(求職申込日)となります。
そして、受給資格決定日から7日間は、就業してはいけない『待期期間』となっています。
ハローワークには何度も通った
待期期間が終わると、職業講習会や雇用保険説明会といった、ハローワークが実施している再就職のためのセミナーに参加します。(手当をもらうためには参加が必須)
初回認定日には、『失業申告認定書』を持っていき、最低1回の求職活動を行ったかどうかを申告します。アルバイトなどをしていたら、それもこの日に申告する必要があります。
そのほか窓口での就職相談など、計7回、ハローワークに足しげく通いました・・・
開業時期について
失業状態が認定されていても、所定の期間を待たずに開業してしまうと再就職手当の受給資格がなくなってしまうため、開業するタイミングには注意が必要です。
会社都合(倒産やリストラ)で退職した人は、待期期間7日間が経過した後に開業すればOK。
ただし、自己都合で退職した人は給付制限があるので、さらに1か月待つ必要があります。
ほとんどの人が自己都合退職に当てはまると思うので、ご注意ください。
ポイント
開業届を出すのは、
・会社都合退職の場合(給付制限なし):待期期間7日間が過ぎてから!
・自己都合退職の場合(給付制限あり):待期期間7日間+1か月が過ぎてから!
開業後はすみやかに報告
税務署に開業届を提出したら、ハローワークに開業した旨を報告します。
報告は、電話で行ってもいいですし、訪問して直接伝えてもOKです。
『開業したのに失業手当を受給してしまった』というややこしいことにならないよう、出来るだけ早めに知らせるのがよいでしょう。
1回目は申請に失敗
開業して1か月ほどたった頃、開業届の写しを持って意気揚々と再就職手当の申請に行きましたが、ここで一度却下されて、再就職手当がもらえませんでした。
却下された理由
申請に失敗した理由はズバリ、『1年を超えて事業を安定的に継続して行うこと』を証明できなかったからです。
会社に再就職した人が再就職手当を受給するには、『1年を超えて勤務することが確実であること』を証明する書類、すなわち採用証明書などがあればそれが申請書類になります。
個人事業主の場合は、クライアントとの業務委託契約書などを提出すれば認められる場合が多いとのこと。
筆者の場合は開業当初、知り合い経由や、クラウドワークスやランサーズといったクラウドソーシング経由で単発の仕事を得ていたため、契約書などの書類が用意できませんでした。
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代わりに、発注書や仕事を受注したメール、SNSのキャプチャ画面などを提出しましたが、次のようなことを言われて、申請が却下されてしまいました。
ハローワークの職員さん
発注書だけでは判断できないので、お金の流れが分かる書類を持ってきてください。個人事業主の方は実績が出来てから、半年とか1年後に再度申請する方もいますよ。
『お金の流れが分かる書類』は、通帳の該当ページをコピーして提出すればよいとのことでしたが、その時は事業を始めたばかりで安定した収入がなかったので、いったん申請をあきらめることにしました。
なお、どんな書類を用意すれば申請できるかは、各ハローワーク、または担当の職員さんによっても変わってくるようです。
再申請時に出した証明書類
1年後、ようやく取引実績ができたので、以下の書類を持ってハローワークへ。
・開業届の写し
・クライアントからの発注書、依頼メール
・報酬が振り込まれた口座の通帳の写し
とにかく『お金の流れが分かること』を意識して書類を準備しました。
クライアントA社、B社、C社、D社、計4社の発注書や依頼メールと、それぞれの発注に対して入金があったことが分かるように通帳の写しを添付しました。
通帳の関係ないページや印字部分は、黒塗りで提出。
1社についてはNDA(秘密保持契約書)を結んでいたので、会社名すら黒塗りで提出しましたが無事受理されました。
ハローワークの職員さん
提出していただいた書類を元に審査をします。審査に通ると、1か月ほどで決定通知書が届き、その後1週間程度で再就職手当が振り込まれます。
ついに再就職手当が^^
3週間後、決定通知書が届く
ハローワークで再申請してから3週間ほどして、『就業促進手当支給決定通知書』が送られてきました。
審査の過程で、ハローワークから「継続して働いていますか?」という確認の電話が来ることもあるようなのですが、私の場合は来ませんでした。
多分すでに1年間続けたということが分かっているため、省略されたのだと思います。
後日、口座に振り込みが
そして、決定通知書が届いてから数日で、再就職手当が口座に振り込まれました。
なお、再就職手当の受給金額は、計算式(支給残日数 × 給付率 × 基本手当日額)によって算出できますが、複雑すぎて計算が難しそうです。
筆者は、以下のような条件でこのような金額になりましたので、ご参照ください^^
・30代
・自己都合で退職
・前職では年収400万円ほど
・失業手当はもらっていない
あとがき
一度申請が却下されてしまい、あきらめそうになりましたが、どうにか再就職手当をもらうことができました。
予想していたより大きい金額がもらえたので、新しい事業用パソコンを買ったり生活費の足しにしたりと、大変助かりました。
再就職手当は非課税で、確定申告の必要もありません。
筆者は1年かかりましたが、『事業の継続性』が証明できればすぐに審査が通る可能性もありますので、トライしてみてくださいね。
ちー🍀