私は高校時代に1年間、オーストラリアのメルボルンに留学したことがあります。
よく『海外留学していた』と言うと、「じゃあ英語がペラペラなんじゃない?」とか「仕事でグローバルに活躍していそう」と思われたりするのですが・・・
大人になった今、英語とはほぼ無縁の生活を送っています。
普段はフリーランスとして翻訳の仕事をしていますが、依頼の9割は韓国語。
英語は、電子機器のマニュアルなど、簡単な翻訳の仕事を月1回もらえるかどうかです。
久しぶりに海外の友人と英語で会話すると、単語が出てこずに冷や汗をかいてしまう始末。
じゃあ留学中はちゃんと話せていたのかというと、かろうじて会話が成立する程度で、ペラペラと呼ぶにはほど遠かった気がします。
そもそも、オーストラリアの文化にどっぷりつかることができなかった。
成功か失敗かで言うなら、『私のオーストラリア留学は失敗だった』と言えます。
これから留学する人が私のようにならないよう、今回は留学中に後悔したこと、そこから学んだことをまとめてみます。
学んだこと
- 留学中、日本人とのつきあいはほどほどにすべし
- 英語(現地語)がある程度話せるようになってから留学すべし
- 自分の得意分野でネットワークを作るべし
後悔① 日本人とつるんでしまい、現地の友達ができなかった
オーストラリアの高校に1年もいたのに、今でも連絡を取り合うオーストラリア人の友達は、残念ながらほぼいません。
ごくたまに、ホームステイ先の家族の方とクリスマスや新年の挨拶を交わすくらい。
なぜこうなってしまったのでしょうか?
オーストラリア=多文化主義?
よくオーストラリアは多文化主義(Multiculturalism)と言われますが、イメージ的には、
『さまざまな国の文化が入り交じって、みんな1つになって共生している社会』というより、
『国や地域ごとにコミュニティーが存在し、互いに干渉しない社会』。
私が通っていた高校も、日本人をはじめとする留学生をたくさん受け入れていて、
・現地のオーストラリア人の学生
・現地のアジア系の学生
・留学生
⇒その中でも中国人、韓国人、日本人のグループ
という風に、目には見えないコミュニティーが形成されていました。
特に英語ができるわけではなかった私は、まず自分と同じように留学に来ていた日本人の学生と仲良くなり、休み時間やランチタイム、放課後など、授業以外のほとんどの時間において行動を共にすることに。
「あれ?これオーストラリアに来てる意味あるのかな?」
なんて罪悪感を感じつつも、みんないい子で気も合うし別にいいじゃん、と楽なほうに流れてしまっていました。
オーストラリア人の学生と話すときは、とにかく緊張したし怖かったし、客観的に見ても自分が浮いている、なじめていないというのを実感して、すごくつらかった。
親切にしてくれたり、話しかけてくれる学生がいなかったわけではありません。
でも人間不思議なもので、いったん自分がどこかのグループに所属してしまうと、次第にそのグループの人たちの顔色をうかがうようになることがあります。
例えば、オーストラリア人の学生がせっかくランチに誘ってくれたのに、「ごめん、私あっちで日本人の子たちと食べることになってるから」と断ってしまったり。
今考えると、本当にもったいないことをしたと思います。
でも当時は一歩踏み出す勇気が無くて、最後まで自分の殻を破ることはできませんでした。
とにかく、留学のお金を出してくれた親に対して申し訳ないという気持ちが強かったですね。
『現地の日本人とどうつきあうか』問題
留学先で日本人を避けるかどうかは、たびたび議論になります。
もちろん、ホームシックなどでつらいときに精神面で支えてもらったり、現地の生活に必要な情報を教えてもらったりと、現地の日本人と仲良くするメリットはたくさんあります。
その人が一生涯の友人になることもあるでしょう。
ただ、本当にそこでしかできないことか?留学の目的は何か?ということを考えると、私は『できることなら日本人は意識して避けたほうがいい』と思います。
あえて、日本人がいない、または少ない学校を選んでみるのもいいでしょう。
学んだこと
留学中、日本人とのつきあいはほどほどにしたほうがいい
後悔② 英語の習得に時間をかけすぎてしまった
2つ目の失敗は、『基本的な英語を習得するのに時間をかけすぎてしまった』こと。
ESL(=English as a Second Language)
オーストラリアの高校に通い出してまず初めに受けた授業は、
『ESL=English as a Second Language』
という、英語を母国語としない学生向けの英語の授業でした。
留学生が初めから現地の学生と一緒に授業を受けるのはハードルが高いため、まずはそれに備えてESLで基本的な英語を学ぶ必要があります。
ESLの期間は人によって異なり、3か月から6か月が一般的。すでに英語が上級レベルでESLを必要としない=すぐに現地の学生と授業を受けられる人もいます。
私の場合は、英語に苦戦してESLを卒業するのに6か月かかりました。
1年留学だったので、通常のクラスの授業を受けられたのは残りの6か月でした。
オーストラリアの授業
オーストラリアの学生は、授業中にハキハキと自分の意見を述べる学生も多く、グループワークなどではディスカッションが活発で、とてもいい刺激を受けました。
中には私が留学生だということを加味して、ゆっくり話してくれたり、ノートを見せてくれる優しい学生も。
また、数学や理科は日本の高校のほうが学習ペースが早いらしく、すでに習った内容が出てきたため、逆に私が解き方を説明するなんていうこともありました。
この経験はとても貴重で、留学の終盤にさしかかるにつれて、「もっとみんなと一緒に授業を受けたい」という気持ちが強くなっていきました。
もし、ESLをもっと早い時期に卒業できていたら、その分もっとたくさんの授業を受けられたはず。
そして、現地の学生ともよりスムーズにコミュニケーションが取れていたはずです。
「もっと英語が話せる状態で留学していたら・・・」と後悔しました。
留学期間中、現地でひたすら言語を学ぶだけだと、はっきり言って時間がもったいないです。
オーストラリアで英語を学ぶのではなく、英語で何を学ぶかが大事だったのだと、後になって気づきました。
留学をより充実したものにするためには、留学準備期間中に、できるだけ自分の英語力を高めておくことを強くおすすめします。
学んだこと
英語(現地語)がある程度話せるようになってから留学したほうがいい
後悔③ 行動範囲が狭すぎた
3つ目は、『行動範囲が狭すぎた』ということ。
留学中は、学校の近くに住むオーストラリア人のご家庭にホームステイしていました。
平日は、朝起きて学校へ行き、授業が終わったらホームステイ先に帰る。
週末は、電車に乗ってメルボルン市内に遊びに行ったりしましたが、それもごくたまに、例によって日本人の友達と。
それ以外はとにかく、学校と家をひたすら往復していた記憶しかありません。
学生なんだから、それは当たり前と言われればそうなのですが、せっかく留学に行ったなら、もっと行動範囲を広げて、いろんなことに挑戦すればよかったなぁと思いました。
例えば私の友人で、日本でもともとやっていたハンドボールを、オーストラリアでも続けて、そこで現地の学生やコーチと交流を深めていた人がいました。
自分も相手も得意なこと・好きなことだと、共通の話題も見つけやすく仲が深まりますし、『学校』『家』以外の居場所ができることで、自分の世界が広がります。
学んだこと
自分の得意分野でネットワークを作るべし!
あとがき
私にとってオーストラリアは、いつまでたっても『海の向こうの遠い国』です。
でも実は、その後に留学した韓国で、オーストラリア留学の失敗から学んだことを実践(日本人を避ける、留学前にある程度話せるようにしておく、行動範囲を広げるなど)したところ、明らかに違う手応えを感じました。
これから留学に旅立つ方には、私の失敗を参考に、有意義な留学生活を送ってほしいと思います。
ちー🍀